Black persimmon 黒柿

Design 2020-2021

Location 銀座・巷房/万画廊/森岡書店

黒柿とは樹齢数百年にもなる、

白と黒の模様をもった柿の古木。

1300 年も前から、工芸品としてつくられ、

人々を魅了してきた素材です。

樹齢を重ねる中で、雨風にさらされ、

微生物の影響を受け、中心部が腐っていく。

それが黒い結晶となり、白と黒の模様を生みます。

一万本に一本と言われる貴重な銘木は、

役目を終えた柿を切ってはじめて現れるもの。

2020 年、その出会いが訪れました。

黒柿の丸太を半分に切り、

木の目、断面、模様を見ていく。

すると向こうから

「ここに花瓶が二つある」と提案があるのです。

白と黒のコントラスト、

朽ちた穴やただれは、いわば自然が作ったアート。

建築という合理性を保たねばならない

世界で生きてきた私にとって、

白でも黒でもない黒柿の曖昧さは、

ある意味、憧れでもありました。

朽ちて腐った部分に美を感じ、

その導きに従って、形づくっていく。

素材と対話をしながら、手を動かしていく作業、

そして生まれた器を日常に置いた時、

自然への畏敬の念を深めることにもなりました。

この欲求が自分に現れたことは、必然だったのかもしれません。


CONTACT

03-3563-3008

mail-icon